口を開いてのどの奥の両側に、そら豆大ぐらいの大きさの、イチゴのような表面のものがみえますが、これが口蓋扁桃、いわゆる皆様がいわれる扁桃腺です。外からの細菌などの侵入を見張って、免疫の働きをしています。これが強力な病原菌が入ったり、体力がおとろえていると炎症をおこし、扁桃は赤くなり、膿がついたり腫れたりして痛み、発熱等の炎症症状をおこします。
治療としては、うがいなど、のどの清潔、殺菌と、病原菌をやっつける抗菌剤、及び症状をやわらげる消炎、鎮痛、解熱剤の投与、及び全身的には、安静、水分の摂取などでしょう。ただし、炎症の程度、その合併症については様々ですのでのどを常時観察して、いざという時には、切開とか摘出術などを手段として持っている耳鼻科医専門医に受診することが、良いと思います。というのは、特に子供では、よくのどの炎症をくり返しやすいのですが、のどのどの部分の炎症なのか、つまり扁桃だけでなく、咽頭側索、孤立リンパ節、舌根扁桃もよく炎症をおこし、症状は余り大きな差はありませんが、たびたびくり返すのに、ただその度に炎症をおさえるだけでは、医師として充分役に立っているとは思いません。なぜくり返すのか? 鼻が悪いのが原因なら鼻に対する処置で、扁桃炎をくり返させないようにすることが大切と思います。特殊な炎症形式で扁桃周囲膿瘍をおこしていれば、緊急の切開、排膿手術、及び全身管理が必要となりますし、のどの口を開いて見える範囲だけでなく、もっと下方へ炎症がひろがって、喉頭蓋炎・仮性クループなどを、合併していれば呼吸困難、窒素死などを来たしたりと、不幸な結果になることもあります。充分見ることのできない内科、小児科などでは、充分といえないこともありえます。しっかりと局所を観察できる手段をもった、耳鼻科医への受診が、もっとも必要と思います。
また、本来の扁桃の働きをしていない状態であれば、摘出術の手術も必要となりますので、しっかりとのどのどこにトラブルをおこしているのか?
を、意識して観察して、適切に手術の適応を指示できる耳鼻科医が最適と思われます。
また、扁桃のみでなく、体の他の臓器へ悪戯をすることもあります。
扁桃の炎症は、そんなに強くないのに腎炎(IgA腎症)、掌跡膿疱症、胸肋鎖骨過形成、リウマチ性疾患、尋常性乾蘇などの病気をおこしてきます。これを病巣感染といいますが、その病巣として扁桃、副鼻腔、ムシ歯などがあります。これも的確に診断をして、手術によって、他の臓器の疾患を軽快させることができます。どれも重要な疾患です。
扁桃摘出とか歯科の治療でこれらが治れば、一攫千金の宝を見つけたようなものです。
扁桃が大きいと、睡眠中にのどを閉塞して、いびきとか無呼吸を引き起こして、最近話題を集めている睡眠時無呼吸症候群になる可能性もあります、これについては、このあとにある別項の”睡眠時無呼吸症候群”を参照してください。
”扁桃肥大”というお知らせを学校の耳鼻科健診のあとにもらってこられることがあろうかと思いますが、これは、健診では、詳しく病状などを児童から聞くことが出来ませんので、問題を抱えている可能性のある扁桃肥大を指摘していますので、耳鼻科専門医を受診して、問診・視診・臨床検査を受けて、上記のような扁桃についてのチェックを行い、これからの治療方針を決めようというものです、大きいからといって無闇に手術をするわけではありません。